私の職場は、とある駅ビルの中にある店舗です。
ある日の昼休み。エスカレーターで1階に降りようとしたら、杖をついたおばあちゃんがうまくエスカレーターに乗れないでいるところに遭遇しました。
エスカレーターの下では、先に降りた家族の方がおばあちゃんを呼んでいます。が、おばあちゃんは、どうしてもエスカレーターに乗ることができなくて困っています。私は、家族の方に伝えて、おばあちゃんと一緒にエレベーターを使って1階まで降りることにしました。
二人で並んでエレベーターを待っていたら、ふいに、おばあちゃんの手が私の手を握ってきました。おばあちゃんの手から心細い気持ちが伝わってきたので、私も握り返しました。
その間、おばあちゃんは一言も発しません。
私の背が高かったので、おばあちゃんの表情を見ることはできませんでした。
ただ黙って、二人で手をつないでエレベーターを待ち、一緒にエレベーターに乗り、1階に到着すると家族の方が待っていました。家族の方にお礼を言われておばあちゃんと別れ、私はそのまま昼食に出かけました。
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たったこれだけの出来事が、私の心をとらえて離さないのです。おばあちゃんと手をつないでいた時の『頼られ感』は、子供のいない私の人生では味わったことのないものでした。
ここには、どんなメッセージがあるんだろう
「あなたの存在を信じて良いですよ。」
おばあちゃんの手は、私の手。
私を信じて良いというメッセージ。
突然出会ったおばあちゃんは、天使だったのかもしれない。
私自身にOKを伝えにきた天の使い。
おばあちゃんの手の温もりを忘れない。
おばあちゃん、ありがとう。