「森林は『シャドー』に向き合う勇気をくれる」~飯田みゆきのコラム 第11回

2017.5.25

『シャドー』とは、私たちが日常生活の中で拒絶・隠ぺいしている性格や感情などです。こうした無意識の領域を積極的に探求して、そこに隠ぺいされているものを健全な形で解放・統合することは、私たちが包括的な治癒と成熟を実現していくためには必須の活動です。(「ケン・ウィルバー『インテグラル理論入門』春秋社」より)

スピリチュアルセラピーや心理カウンセリングでは、この隠ぺいされてきた『シャドー』を積極的に探究しますが、森林は『シャドー』に向き合えとも言わないし、どんな優しい言葉もかけてはくれません。しかし、森林の中でヒトは心を開き、自分を受け入れやすくなります。そして、次の段階である『シャドー』に向き合う勇気が与えられるように思います。

『シャドー』に向き合うには、ある程度心構えが必要です。多くの人が、自分が隠している『シャドー』に気づくことを恐れています。私もそうでした。だから、スピリチュアルセラピーや心理ワークを受けることを長い間避けていました。その代わり、自然の中へ出かけていました。自然とのふれあいは周りを気にせずに自分自身のワクワクを感じることができ、ジャッジせずに迎え入れる自然の温かさは大いなるものへの信頼を感じされてくれました。

しかしそれだけでは、まだまだ自分自身への苛立ちを抑えることはできませんでした。そして苦しさに耐えられなくなり、満を持してスピリチュアルセラピーの世界に足を踏み入れました。

スピリチュアルセラピーでは、自分の内側と何度も何度も対話をしました。『シャドー』として隠していた、見たくなかった自分、拒絶していたかった自分と対話を重ね、統合することで少しずつ生きることが楽になっていきました。

リラックスした状態で感じる、天使の愛、インナーチャイルドの思い、どこからやって来るのかわからない意味なく感じる無限の愛。「私の身体は受精卵の時から私を愛している。」と気づいたときには、涙が止まりませんでした。

私に『シャドー』と向き合う勇気をくれたのは、自然の中での体験だったと思います。すべてを受け入れてくれる大自然への信頼の記憶が、『シャドー』への信頼に繋がっていると感じます。

皆さんも、自然の中でリラックスしたら、ぜひ次のステージである『シャドー』との出会いに出かけてみましょう。そこもやはり、愛に溢れる暖かい場所であることに気づくと、世界に存在する自分もまた愛おしく感じられるかもしれませんね。

コラム執筆者

飯田みゆき(”自分の感覚を取り戻す” 森と魂のセラピスト)
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