生きているうちにやりたいことを 人とのつながりを描く現代アーティスト増田智己さん

絵画やぬいぐるみに刺繍を施した作品が印象的な現代アーティスト・増田智己さんにお話を聞きました。
デザイン学校を卒業したものの芸術とは無縁な生活を送っていた増田さん。
ですが結婚後、ある出来事をきっかけに現代アーティストとして活動を始めることになりました。

増田さんの作品

長女の急死

本当に突然だったと言います。娘さんが2歳のころ、長らく体調を崩していました。病院では風邪と言われ続けていましたが悪化し肺炎となっており、さらに別の菌に感染、菌が心臓と脳にまわり急死してしまったのです。あまりにも短い期間での出来事だったため増田さんは受け入れられず、精神的にも不安定な状態に。

そんな時、偶然にも絵を描いている知人から多くの連絡をもらい、自然と「絵をかいたらいいんだ」と思うようになりました。それ以前はあらゆる理由から絵の活動ができないと思っていたという増田さんですが、娘さんの死をきっかけに覚悟に変わったと言います。

「自分の本当にやりたいことをやらずに死んで子どもに会うのが嫌だと思ったんです。子どもに生きていたときの楽しいことを伝えられないと思いました。だからこそやりたいことに向かえたんです。自分の生き方に気づかせてくれたんだと思います。

どんな形でも生きていてほしかったですけど、一緒に過ごしたことがなかったことになるわけではない。子どもを通して、自分が見ていなかった世界に気づくこともできました。例えば、私は動物にそこまで興味がなかったけれど、娘は動物好きでよく動物公園に行ったこととか。絵やぬいぐるみのモチーフが動物なのも、子どもが好きだったからです」

つながりをテーマに 今支えてくれる人たちへ

描き始めた当初は絵に悲しみをぶつけていました。亡くした子とのつながりを求めて制作していたため、絵にも悲しさが出ていたと言われたこともあったそう。
ですが月日が経つにつれ徐々に傷も癒え、新しい子も授かり、周りの支えてくれる人の存在に気付きます。
亡くした子のことだけでなく、今生きている人のことも考えるようになり、作品のテーマも自然とそれまでの「見えない存在と生きているものとのつながり」に加え「生きている大切な人とのつながり」も意識するようになりました。
絵画に施されている手刺繍は、糸でつないで何かができる、テーマのつながりを表現しているのです。

手に取った人のお守りになるような作品を

今では絵自体が手に渡った人のお守りになればいいとの想いで制作・販売しています。
持ち主をそばで見守る、寄り添う存在になればと増田さんは話します。

「気づいていないかもしれないけれど、見守ってくれている人がいるから大丈夫。絵やぬいぐるみがそんな存在になればと思います。

伝わってほしいのは、普通の日々が本当の幸せ、ってことですね。私がそうでしたが、求めなくても幸せがあることに、失ってみないと気づかないんです。日常の中に良いことがいっぱいあることに気づいてくれたらいいなと思います。

今も子ども、そして家族がくれるものがたくさんあります。子どもは小さくて弱い存在ですが、大きな力を持っていて、与えてくれる。“力をくれるちいさな人”です」

増田智己
現代アーティスト・画家

HP:http://www.tomomimasuda-artworks.com/
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