サザエさんのような母親って、いいなと思います。
容姿や髪型を「いいな」と思うわけではないですよ。いいなと思うのは、その性格や振る舞いについてです。
怒るときは怒る、笑うときは笑う、落ち込むときはとことん落ち込む、実に喜怒哀楽が豊かで、かつ遠慮なくストレートにそれを表しますよね。怒ったあとにも、数分後には大笑いをしたり、悩んで落ち込んでいてもオヤツを食べたらケロリとしていたり、切り替えが実に早いことも特徴的。「いつまでも引きずって考え込む」というサザエさんの姿は、あまり見かけません。
おそらく「子育て本」などは読まないでしょうね。手に取ってページをめくっても、いつしかウトウトと居眠りをしていそう。難しい言葉よりも、自分の感性を大切にしている気がします。「ちゃんとした子育て」をしないので失敗も多い、だけど失敗をあまり気にしていない。
そしてなにより、おっちょこちょい。ウッカリでは済まないようなことをして怒られることもしばしば。家族の前で怒鳴られる姿なんて、“理想の母親”とはほど遠いかもしれません。けれどもやっぱり、食卓を囲めば、自然と笑顔がこぼれる風景が日常。
こんな母親で、いいんじゃないかなと思います。
喜怒哀楽を遠慮なく出しても、失敗をしても、おっちょこちょいでも、それでもみんなサザエさんが好き。
逆に、いつも正しくて失敗のない「完璧な母親」って、実はあまり魅力がないかもしれません、少なくともお子さん本人にとっては。
「理想の母親」というのは、買い物へ行くのに財布を忘れるくらいで、たぶんちょうどいいのだと思います。