「理想のお母さん?」~あべのコラム 第3回

2016.10.26
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サザエさんのような母親って、いいなと思います。
容姿や髪型を「いいな」と思うわけではないですよ。いいなと思うのは、その性格や振る舞いについてです。

怒るときは怒る、笑うときは笑う、落ち込むときはとことん落ち込む、実に喜怒哀楽が豊かで、かつ遠慮なくストレートにそれを表しますよね。怒ったあとにも、数分後には大笑いをしたり、悩んで落ち込んでいてもオヤツを食べたらケロリとしていたり、切り替えが実に早いことも特徴的。「いつまでも引きずって考え込む」というサザエさんの姿は、あまり見かけません。

おそらく「子育て本」などは読まないでしょうね。手に取ってページをめくっても、いつしかウトウトと居眠りをしていそう。難しい言葉よりも、自分の感性を大切にしている気がします。「ちゃんとした子育て」をしないので失敗も多い、だけど失敗をあまり気にしていない。

そしてなにより、おっちょこちょい。ウッカリでは済まないようなことをして怒られることもしばしば。家族の前で怒鳴られる姿なんて、“理想の母親”とはほど遠いかもしれません。けれどもやっぱり、食卓を囲めば、自然と笑顔がこぼれる風景が日常。

こんな母親で、いいんじゃないかなと思います。

喜怒哀楽を遠慮なく出しても、失敗をしても、おっちょこちょいでも、それでもみんなサザエさんが好き。
逆に、いつも正しくて失敗のない「完璧な母親」って、実はあまり魅力がないかもしれません、少なくともお子さん本人にとっては。

「理想の母親」というのは、買い物へ行くのに財布を忘れるくらいで、たぶんちょうどいいのだと思います。

コラム執筆者

阿部 伸一(株式会社REO 代表取締役/特定非営利活動法人いばしょづくり 代表理事)

1973年生。神奈川県横浜市在住。心理カウンセラー。
20代後半より、不登校生・保護者へのカウンセリングや学習・進路指導を始める。
『マニュアルは無い』をポリシーとし、特定の手法を用いずに『環境・行 動・資質』それぞれの状況を把握することで、個々に応じた対応や具体的なアドバイスに務めるという独特のスタンス。個別指導塾を運営していることもあり、『不登校からの学校選びと受験対策』『私立一貫校生の不登校対応』は専門分野。
2003年に学習サービス事業の株式会社REOにて「不登校サポートコース」を発足。また、2010年に不登校生、不登校経験者、保護者のサポー トを行う「特定非営利活動法人いばしょづくり」の活動開始。
近著「『不登校』は天才の卵」(宝島社)
web:株式会社REO特定非営利活動法人いばしょづくり
Blog:不登校でもイイじゃん ~あべのブログ~

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