横浜元町でオーダー専門のウェディングドレス屋をしております、Jellishの店長を務めております 山浦さよりです。
アパレル専門学校を卒業後、ウェディングドレスを扱う仕事に携わり今年で18年。沢山の新郎新婦を結婚式に送りだしてきました。
自身も2年前にようやく結婚しましたが、夫婦で沢山話し合い、最終的に大満足の結婚式を挙げる事が出来ました。そんなウェディングドレス屋が「結婚式とは何か?」についてお話していこうと思います。どうぞお付き合いくださいませ。
〇結婚式とは何か?
「結婚式に携わる仕事をしています。」と自己紹介すると、とても羨ましがられます。
確かに結婚式は華やかなイメージだし、幸せなカップルさんのお手伝いをする仕事なため、バラの花びらが舞う、キラキラした映像が頭に浮かぶからかもしれません。
とは言え、実際には「一生に一度」という大きなイベントのお手伝いをするという、責任を伴った仕事でもあります。確かに命の危険に関わる業種ではありませんが、新郎新婦の期待を上回る仕事をしたいと常に真剣に取り組んでいます。
さて、そんな「一生に一度」の結婚式(もちろん二度三度と挙げて頂いてもOKですが)。いったいどんな意味があるのでしょう?
人によってそれぞれ価値観が違いますし、カップルそれぞれの考え方は多岐に渡ると思いますが、私個人にとっての結婚式は「二人の壮行会」という意味が込められていると思っています。
「これからこの二人で人生を歩んでいこうと思います。ちゃんと二人で夫婦をやっていきます。だから皆さん、応援していてください。」そう、宣言する会という位置付け。二人の応援団を結成する会です。
ここで確認しておきたいのは、私が言う結婚式がいわゆる結婚式場やホテルの宴会場で行われる結婚式が全てではないという点です。
二人が着飾って新郎新婦席に座り、ゲストを沢山呼んでご祝儀を頂いて、コース料理をふるまう。これが結婚式の定義ではありません。
当然色々なスタイルの結婚式が存在はしますが、要はお二人の門出を祝いたいと思っている面々が集まり、二人の宣誓に対して祝福の拍手を送る。そんな瞬間の事を想像してください。それが私のいう結婚式です。
〇そもそも結婚とは
それでは、そもそも「結婚」とは何なのでしょうね?これまた千差万別色々な意見があるでしょうが、少なくとも全てのご夫婦にとって共通しているのは「二人の関係が公になる」という点だと思います。
二人の人間が、お付き合いしましょうね。とお互いの同意を得て時間を共有していた状態から、世間一般に二人が一組の家族であると公認されるのが結婚ではないでしょうか。
この最小単位の「家族」を今後何年も継続して行く為には、二人の努力はもちろん、周りのサポートが必要不可欠です。
そう、それが結婚式にお呼びするゲスト。二人の応援団です。
〇ナシ婚と呼ばれる夫婦
「ナシ婚」という言葉が用いられるようになり、数年たちますが、入籍だけして結婚式を挙げない「ナシ婚カップル」は、実際にどれくらいいるのでしょう?
2015年のデータにはなりますが、入籍したカップルの約半数が結婚式をしていないと言われて(婚姻届の数-国内の婚礼施工数を出した数値の為、海外挙式や家族だけの食事会は含まれておらず、実際には40%程度と予想されています)、結婚式を挙げなかった理由として「経済的事情」「さずかり婚」「セレモニー的行為が嫌」が上位に並んだそうです。
はて。私から言わせれば、これらの理由に全く納得がいきません。つまり「二人の壮行会をしなかった理由」として説明がつかないと感じるのです。
ただ一つ断わっておきたいのは、ブライダル業界全体がまだまだブラックな業界で、企業が個人のお客様相手に高額(適正価格ではない)な商品を販売している仕組みや、いわゆるパッケージの結婚式にお二人をはめ込んで、新郎新婦にもゲストにも良い後味を与えない結婚式がまだまだ存在している事が、結婚式離れを助長しているという点です。
これについては微力ながら、私も業界の改善に力を注いでいきたいと思っています。
〇結婚式をしないという選択
たしかに「二人の壮行会」をしなくても、何事もなかったように二人の夫婦生活は繰り返されていきます。
結婚式をしないと離婚率が高いというデータもあるようですが、実際に夫婦の関係を築いていくのは当事者のお二人で、結果的に離婚をするのもお二人の決断です。
所で、お二人が存在するのはご両親やご親戚のお陰です。たとえばご親族のどなたかが亡くなられた時。葬儀で初めてご親戚と顔を合わせるというのはどうでしょう?それよりは、事前に結婚のタイミングでご挨拶に行っておきたいと思いませんか。
こうして、二人の意志だけではどうにもならないお付き合いが生じるのも、結婚です。
親戚やお友達とそれぞれグループごとに食事会をして、結婚の報告をしますか?それよりは、皆さんにお時間を頂いて、一同に会していただく方が効率的ではないでしょうか。
結婚式を挙げると決めるのも、しないと決めるのもお二人ですが、現状ばかりでなく未来も見据え、お二人の人間関係を俯瞰したうえで、きちんと話合いを持って頂きたいと思います。
結婚式をしなくても良いと話していた新婦が、ウェディングドレスに袖を通した瞬間にポロポロと涙をこぼし「ウェディングドレス着て見たかったんだ」と告白した、そんなシーンを目の当たりにしたことがあるからこそ、夫婦としての最初の家族会議はぜひ「結婚式をどうするか」という議題でとことん話し合ってみて下さい。