植物はいつも自分中心 森と魂のセラピスト 飯田みゆきのコラム 第2回

2016.9.5
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私は、現在「森で元気になりましょう」という活動をしています。森を案内する時は、植物の名前や、生態のミニ知識をお伝えすることがあります。
私が植物のことを体系的に学んだのは、「森林インストラクター」の受験勉強の時でした。「森林インストラクター」は、一般社団法人全国森林レクリエーション協会が認定する、森を案内する資格です。植物の名前だけでなく森林生態系について総合的に学びました。

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植物の生き方を学んで感じたことは、「植物は常に自分中心である」ということ。生命として、シンプルに、自分のことだけを考えて生きていると思うのです。他の生き物に遠慮したり、気を使ったり、思うようにならない相手に怒りをぶつけたりしない。いかにして個体として生き残るか、さらに子孫を残すか。植物はそれぞれの種(しゅ)によって、多種多彩な戦略で生きています。
ツル生植物は他者を利用して太陽の光を取りに行き、一年草植物は個体の寿命よりも「(種しゅ)」としての存続を意図して生きる。敵であった昆虫も利用して花粉を運ばせ、哺乳類や鳥類も利用して種(たね)を運ばせます。
とても自由奔放で、多様性があり、自分のことしか考えていません。私にとっての植物は、争いをしない平和な存在ではなく、自分の「生」に一所懸命な存在です。
それでも、生態系はバランスを保ち、持続可能な有機体として存在しています。
私たちも、一人一人が本気で自分自身のために生きたら、バランスのとれた世界になるのではないでしょうか。
そんなことを、日々植物を見ながら感じています。

その昔、裏磐梯で撮影したヤドリギです。しれっと寄生する、こういう生き方もアリですね。

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コラム執筆者

飯田みゆき(”自分の感覚を取り戻す” 森と魂のセラピスト)
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