昆虫という生き方 ”個体”という考え方の違う世界 飯田みゆきのコラム 第3回

2016.10.5
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前回、「植物はいつも自分中心」という思いを書きましたが、昆虫もまた私たち脊椎動物とはまったく違う形に進化した生き物で、考えれば考えるほど、妄想の世界に浸っていきます。
特に、”個体”という概念が、根本的に違う世界であると感じています。
例えば、アブラムシなどはメスがメスを生む、無生殖でクローンの個体を増やします。
これは、私たち多細胞生物の細胞分裂と非常によく似ています。一つのカラダを大きくしてしまうと柔軟性に欠けてしまうため、小さくて動き回れる個体を増やすことで。幹をグルリと囲めることになり、より活動しやすい形になるようです。
また、ハチやアリのコロニーには女王がいて、働く個体(メス)には生殖能力はありません。女王を卵子、働きバチや働きアリを通常細胞と考えれば、コロニー全体が一つの個体、生命体として機能しているとも考えられると思うのです。

一つ一つの個体の活動に、愛とか、幸せとか、嫉妬とか、様々な感情が入る余地はなく、ただひたすらに生命体として種の保存のために生きる。とてもシンプルで、圧倒されます。

私のカラダも、細胞が集まった生命体です。
私たちの社会も、個体が集まった生命体。
ヒトも含めてすべての生物が集まれば、生態系という生命体。
そして、生物と鉱物が集まれば地球という生命体。
そして、そして、太陽系、銀河系、宇宙もまた生命体なのかもしれません。

「生命体の定義」についてはしばらく脇に置いて、妄想の世界で遊んでみるのも、たまにはいいですよね。

コラム執筆者

飯田みゆき(”自分の感覚を取り戻す” 森と魂のセラピスト)
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