「スズメの学校の先生(親だけど)は、めちゃくちゃやさしい。」~飯田みゆきのコラム 第7回

2017.1.27

梅雨明け前の7月のある日、ランチを食べるために喫茶店に入ったら、窓の外の中庭が見える席に案内されました。

中庭には、親子らしきスズメが二羽。親鳥が、大きさはほぼ同じくらいのヒナにエサを与えていました。ヒナがブルブルと羽根を震わせて口をパカーッと開けると、そこに親鳥がエサを運んできます。ガラス越しなので声は聞こえません。ヒナは親の後をついてウロウロするでもなく、中庭の木陰の同じ場所で、ただ、羽根をブルブルさせて口を開けるだけなのです。

親鳥はパンくずらしきものを持ってきてパカーッと開いたヒナの口の中に入れるのですが、大きすぎるとヒナが落としてしまうので、何度も何度も与え直します。エサを一緒にとる練習などはもう少し先のことなのでしょうか。親鳥は休む間もなく、せっせ せっせとエサを運び、ヒナは、ただただ、もらっているだけ。

その様子をじーっと見ていたら、なんだか、切なくなってきてしまいました。

生命の循環のなかで、ただ、その役割をしているだけの親鳥とヒナ。親鳥も以前はパカーッと待っているだけのヒナだったし、ヒナも、次回はせっせとエサを運ぶ親になる。親鳥が、「ワタシも昔はこうだったから、しょうがないわね~。」とか、思っているかどうかはわかりませんが、脳のどこかにヒナだった時の記憶はあるように思いました。

こうやって、親は無条件に子供を育てるんですね。私も昔は、パカーッと口を開けているだけの子供だったんだろうな。

そのうち、もう一羽親鳥らしきスズメがやってきて、三羽でどこかに行ってしまいました。

夏の間、こうやって子育てしている生き物が都会にもいっぱいいるんですね。普段は目にすることがないけれど、ここは地球なんだな・・・、なんて、思ってみたのです。

コラム執筆者

飯田みゆき(”自分の感覚を取り戻す” 森と魂のセラピスト)
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