夫との関係 第2回 ―結婚前と後での関係性の変化【後編】―


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プロフィール

石川 江利子さん
自宅の一室でカラーセラピーやアロマテラピーを施術する、Chamomile Salonを経営。サロン内で手作りアロマ石けん教室も行っている。お子さんは中学校2年生と小学校4年生の2人。

石川 澄江さん
神奈川区内で様々なスキルを活かして活動しているママたちの集まり「地区わJob」の代表を務め、様々なイベントを企画。ソーイングの講師としても活躍。お子さんは小学校6年生と2年生の2人。

亀田 恵美子さん
自宅の一室で全身、顔のトリートメントや妊婦向けのオイルトリートメントを施術するアロマテラピーサロン「あめつちのうた」を経営。妊活のためにフルタイムの仕事を退職。お子さんは1人で現在2歳。

長谷川 麻里子さん
送迎・託児を顔見知り同士で頼り合う「子育てシェア」を展開しているAsMama(アズママ)のママサポーターとして子どものお預かり、個性心理学「赤ちゃんともち」を通してカウンセリングを行っている。お子さんは小学校3年生、1年生、幼稚園の年中、生後4か月の4人。

前手 紀子さん
平成28年の年始より食育の講師活動を開始。平日は週3日経理の仕事をしている。お子さんは1人で現在2歳。

第1回に引き続き、「結婚前と後での関係性の変化」についてお送りいたします。
夫との関係 第1回 ―結婚前と後での関係性の変化【前編】― をご覧になられていない方は、よろしければそちらを先にご覧ください。

結婚をする前は彼氏、結婚してからは夫、子どもが生まれたら父親、孫が生まれたら祖父。様々なターニングポイントとともに、自分自身だけでなく、パートナーの立場も変化していきます。その変化に伴って、関係性や気持ちはどのように変化していくものなのでしょうか...

―――どこの夫婦間でも、一緒にいる時間が長いからこそ気になることもありつつも、うまく折り合いをつけながら、という感じでしょうか。
澄江さんのところはいかがですか?

澄江さん:私にとっての結婚というのは、“妻になる”のではなく“嫁になる”ということで、二人の勝手でできるものではない、というのが強かったですね。
主人の両親と現在同居しており、私も祖父母のいる家庭だったので、初めから同居に対してそんなに抵抗はありませんでした。
家族と家族の結びつきができ、それがつながっていくことが結婚なんだなと感じました。

長谷川さん:最初から同居していたの?

澄江さん:いやいや、そうではないけれど、うちの第一子は“家”だと思っているんですよ。“二人で両親との同居を考えながらの家づくり”が私たちの第一子って感じです。

全員:なるほどね~。

澄江さん: なので、結婚して3年くらいは、まずは家づくりを優先して子どもはいませんでした。家づくりがひと段落して、気が付くと両親が引っ越してきて、同居がはじまりました。この家には子どもがいた方がいいなぁと思っていたら赤ちゃんを授かりました。

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―――なんか、すごいですね。大抵結婚して、まずは二人のペースで家庭を作ってから同居というような感じだと思うんですけど、初めからお姑さんやお舅さんがいらっしゃって、その中で関係性を築いていかれていった、ということですものね。

澄江さん:最初から、同居を覚悟して、肝を据えての結婚ですね。すべてが、二人だけではなく、世代を超えて、親戚づきあいをも巻き込んで嫁になったのです。主人のおばあちゃんには可愛がってもらいましたよ!

―――ご主人は、どういったタイプの方ですか?

澄江さん:亭主関白なところが少しありますね。私が外で地域活動等ばかりしていると、家のことをやっていないと言われちゃいます。ちゃんと家のことやってるんですけどね!(笑い)

―――女性が外で働いたり、活動したりすることを、心のどこかで嫌がる男性はいますね。

澄江さん:男女の役割分担の意識が強いですね。男性には男性にしかできないことがあって、女性には女性にしかできないことがある、と。
私としては女性が社会進出するのは非常にいいと思うんですけど、男性にしかできない仕事や、やるべき仕事もあるし、女性が担うべき仕事もあるだろうから、そういう意味では、理にかなった事を言っているなと思うので、そこの部分は一応、はい、と聞いていますけどね。

―――反論はせず、そこは納得して聞いているのですね。

澄江さん:自分が好きなことや、やりたいことをやれているのも、主人が家族のために働いて、安定した収入を入れてくれているからこそだと思うので、そこはしっかり感謝をしないといけないなと思っています。

―――結婚のきっかけは何だったのですか?

澄江さん:私が高校を卒業してからの付き合いで、私も主人も好きなことをやりつつ、居心地がいいから一緒にいる、という感じでした。しかし、年を重ねると…ね、ということで、2000年に結婚しました。ミレニアム婚っていうのかしら?

江利子さん:澄江さんのところもそうだったのですね。私もミレニアム婚でした。

長谷川さん:“ミレニアム婚”流行ったもんね~!

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―――ご主人が亭主関白だという方いらっしゃいますか?

亀田さん:はい。

長谷川さん:亀田さんのご主人は、まさしくそうだよね~。

亀田さん:澄江さんのご主人のように理路整然とはしていないです。
言っていること自体は大体同じだと思うんだけど、もっと感情がボンッと出るタイプ。

澄江さん:長谷川さんのご主人も亭主関白っぽくない?

長谷川さん:子どもの前ではそうだね。家の中で、パパが一番というか、パパに叱られたら、みんな泣いたり、言うことを聞いたり…。
でも、2人でいるときは対等。私の意見も聞いてくれるし、子どもたちには、そういう風に見せているようなところがある。

前手さん:それは、あえてそういう風に見せさせてあげているの?

長谷川さん:私がってこと?

前手さん:そう。今ちょうど迷っていて…。子どもの前で、旦那さんに対して対等に意見を言ってしまうと、子どもの中での父の威厳が消えちゃうじゃない? そろそろ子どもも、そういうことが分かってくる年齢だから、その場では黙っておいたほうがいいのかなとか。

長谷川さん:そうだね。何か大きなことやしっかり伝えたい事があるときは、事前に二人で話し合って、パパが子どもたちに言うって感じに、自然と落ち着いたかな。
もし、嫌だったり言いたいことがあったりする場合は、二人で話し合っているときにそれを伝える。

澄江さん:パパが締めるところは締めないとね。

長谷川さん:基本的に日々の小言は私。それでも全然言うことを聞かないと、「パパに言うよ!」「パパに報告!」となります(笑い)。子どもたちにとっては、亭主関白というか「パパ=一番」という感じですね。

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―――長谷川さんのところは、結婚前と後で関係性は変わりましたか?

長谷川さん:付き合っている時と結婚したばかりの時は、その延長線上という感じであまり変わらず、やはり子どもが生まれてから、子どもが一番になってしまって、相手に対する思いが変わりました。初めての子ですと、育児も分からないので、本当に子育てに集中してしまうんですよね。夫は、子どもが生まれたことで、子育てよりも、もっと頑張って稼がなきゃ!という感じでしたし、仕事もちょうど忙しく、帰りが遅かったです。

―――男性の場合は、そういったところで頑張ろうとしてしまうのでしょうか。長谷川さんが実際に求めていたこととは違いましたか?

長谷川さん:私はもっと、家事や育児を手伝ってくれたり、自分の話を聞いてほしいと思っていました。
なので、第一子が生まれて1、2年の間に、どんどんと溝ができてしまいました。それまでは一応仲の良い夫婦だったのですが、私の中で、触らないでとか、スキンシップとしてちょっかいを出されても、嫌だという気持ちが出てきてしまうなど、ガラッと変わりました。

―――夫と妻という変化よりも、父と母になるという変化が大きく関係性を変えたのですね。そこからさらにどのように変わっていきましたか?

長谷川さん:そのことが原因で大喧嘩もしたのですが、第一子の授乳が終わり、気持ちが多少落ち着き、そこから向き合えるようになっていきました。その後第二子を授かり、産後また同じように夫に対しての気持ちが冷めたり、攻撃的な気持ちになったり、嫌だなって感じたりもしたのですが、授乳が終わると大丈夫になって……。そんな感じで、妊娠出産のたびに同じことを繰り返し、でも回を重ねる度に気持ちの振れ幅は少なくなったように感じます。

―――子育ての経験を積み重ね、様々な感情を繰り返しながら、だんだんと落ち着いていったのですね。

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長谷川さん:今ではもう、自分がそういう気持ちになってしまっているなぁ、ということも分かるし、夫も私の気持ちの変化をわかってくれています。あと、お互いに子育てになれてきたというのも大きいですね。私も変に我慢しないで手伝ってほしいことは伝えるようにしているし、夫も率先して色々やってくれるので、不満もだいぶ少なくなってきました。
でも、最初の、第一子が生まれて1~3年は本当に嫌で、“何で一緒にいるんだろう……”と思っていたこともありました。

澄江さん・前手さん:あー、分かるー(笑い)

長谷川さん:最初の子の子育ての時って本当にそうなんですよね。でも、そしたらやっぱりそういう態度が夫に伝わってしまっていて、「なんかこの家、居心地が悪い。」「俺のこと必要ないって思ってるだろ。」って大喧嘩したことがありました。まあ、確かにそう思ってしまっていたのですがね(笑い)

全員:(笑い)

長谷川さん:大喧嘩があり、そこは少し改めました。子育てで、ほとんどの時間が子どもに向いてしまい、今までとガラッと変わってしまうから、旦那さんは寂しいですよね。なおかつ、邪魔者扱いされてしまったりするとね。

澄江さん: 女性の場合は、ホルモンバランスが急激に変わったり、妊娠、出産を通じて、母になるというターニングポイントがあるけど、男性はオロオロしながら赤ちゃんが出てくるのを待ち、急にお父さんだよって言われるわけですから、なかなか難しいですね。

―――お母さんの場合は、10カ月という母になるための準備期間がありますけど、お父さんには体感しながらの準備期間というものがありませんからね。
子どもを授かることで、これからは親になるということは一緒なのに、父と母になるまでの気持ち的な面での速度のずれによって、関係性に溝が生まれてしまうようですね。

「夫との関係」というテーマでお送りしてきた座談会。第1回、第2回を通して、ホルモンのバランスの乱れや、父と母になるまでの気持ち的な面での速度のずれが、関係性に溝が生まれる要因であるということが見えてきました。最終回となる第3回は、ご主人と足並みをそろ...

:Blanchechou編集部

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