おもてなしの心―――好きという気持ちから広がる世界


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おもてなし”―――

昔からある言葉ですが、2013年に行われたオリンピック招致のプレゼンにおいて、一躍話題になったことも記憶に新しいかと思います

招く予定があったお客様がいらしたとき、どこまで相手のことを考えて“おもてなし”をされていますか?

女性の様々な生き方を紹介する本コラム第13回は、テーブルコーディネート、マナー教室を運営されているThe Table“ALICE”主宰の竹内薫さんにお話を伺いました。

テーブルの上に心を一つ持っていく

こちらのお写真は、今年の初めに横浜山手西洋館ベーリックホールにおいて、「猿神を迎えて」というテーマで竹内さんがお仲間3人の方とコラボ展示されたテーブルコーディネートです。

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テーブルコーディネートとは、季節や行事、料理などのテーマに合わせて、お客様がより楽しく、よりおいしく感じていただけるように、食卓(テーブル)を飾り付け(コーディネート)、お客様をもてなすことをいいます。

竹内さんは約8年前から西洋館で季節のテーブルコーディネートを度々展示、監修されており、洋館の持つ雰囲気を壊さないように、活かした展示になるように心がけているそうです(横浜山手西洋館ベーリックホールでの展示装飾の詳細情報は、The Table “ALICE” Webサイトよりご確認いただけます)。

「なぜこれを使うのか、なぜこの色なのか、全て勉強して理解をした上でテーブルに反映させています。様々な方に見ていただくので、幅広い知識がテーブルの上になければ、飾り付けではなく、ただ置いただけになってしまいます。ですから、コーディネートの上に、見た人を思う心を一つ持っていくことがとても大事なのです。」と竹内さんは言います。

きっかけは、“好き”という気持ちから

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竹内さんは、ご自宅の玄関や子どものお誕生日会などでの飾り付けや、客人を招いてそれを見て楽しんでもらうことは好きではあったものの、体を動かすことが趣味の体育会系、おしとやかとは程遠く、元気でおてんばだったそうです。料理やお菓子作りなどを習っていたという経験もなく、ケーキであれお花であれ、飾るにしても、買ってきて揃えればいいというように考えていました。

そこからテーブルコーディネートに出会い、今までやったことがなかったからこそ、すべてが新鮮で、楽しく、どんどん魅了されていったそうです。“好き”という気持ちが、すべての始まりでした。

さかのぼること18年前、ご主人の転勤で大阪にいた際に、テーブルコーディネートが習い事としてあることを知りました。同時期に、友人がおもてなし教室を始めたことから、友人の教室に通い始め、四季折々の飾り付けや、お料理を含めたおもてなしを学びました。

大阪から、ご主人の実家がある横浜へと転勤することになり、これを機にテーブルコーディネーターの資格を取得。“アリス”という名のウサギを飼われてとても可愛がっていたことと、テーブルコーディネートを学んでいただくことで、『不思議の国のアリス』の世界観のような、ちょっとしたティーテーブルをご自身で作れるようになっていただけたら、との思いから『アリスのティーテーブル』という名で教室を開始。現在の『The Table“ALICE”』に至っています。

自分自身を高め続ける

最初は、テーブルコーディネートに関する知識を座学し、季節のフラワーアレンジを体験、そのお花を使ってテーブルコーディネートの実践、最後にティータイムで終了するという充実したレッスン。現在は、コースごとに分け、より専門的に、基礎から学べるようになっています。基礎科では、シンプルで使いまわしのきく白の器を使用し、器に頼らずに季節感を表現ができるように、応用科では、四季のもてなしができるようにというのがテーマです。どちらのコースもサロン独自のカリキュラムに沿って、2年かけて学びます。

テーブルコーディネートをメインで教えられている竹内さんですが、ご自身も、フラワーアレンジメント、茶道、料理、写真、プロトコールマナー(※1)、礼儀作法など、幅広く学ばれています。

「生徒さんの中には、茶道の先生やフラワーアレンジメントの先生もいらっしゃいますので、こんなことじゃいけない、こちらもさらに勉強していかなければと思い、茶道やフラワーアレンジメントなど、後付けで自分もどんどん習いにゆき、それらをコーディネートの中に組み込んでいます。テーブルコーディネートからどんどん世界が広がっていきました。

お子さんが2人おり、まだ幼いときなどは、子育てや家庭のことと両立をしながら、様々な勉強をされていたそうです。時には、台湾などの遠方にまで足を延ばして学ばれることも。

“テーブルの上は自分の心の中であり、心が映し出される場所。”
相手を思う心、悩んでいるときはもやもやとした気持ち、明るい気持ちも楽しい気持ちも全てコーディネートに現れるそうです。

どこまでも相手を思い、相手のために時間をかける。おもてなしの神髄は、相手を思う心なのです。

後継の人を育てていく―――横浜プレミアムライフコ
ーディネーター協会

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最後に今後の展開、思いについてお話しいただきました。

一昨年、同じく横浜市内でサロンを運営されている方と、『横浜プレミアムライフコーディネーター協会』を立ち上げ、テーブルコーディネートやマナーの本質を、もっと幅広い世代の方に伝えていける人を育てていく認定講師制度を開始。今まで勉強してきたことをもとに、誰もがやる気さえあれば教えられるような、認定講師が使用できるカリキュラムも作成。人材育成に取り組んでいます。

「30代で何かやりたい、実益を兼ねたものを始めてみたいという方も多いので、この活動に力を入れて取り組んでいます。」

また、人材育成に力を入れつつ、自身も学び続けて、さらに高めていくことで、みなさんにもっと良くなっていただければ、と語ります。

華やかなテーブルがおもてなしのメインなのではなく、そこに置かれた飾り付けの心こそがおもてなしであり、形だけではない、研ぎ澄まされた心からくるマナーの本質を感じました。

(※1)プロトコールマナー:国際的なマナーやエチケットなど、世界標準のマナー。スムーズに交流できるように定められた世界共通のルール。

:Blanchechou編集部

Information

The Table “Alice”

神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎南4-16-13 ルネサンスガーデン センター南 410号
Tel:045-942-3357
アクセス:横浜市営地下鉄ブルーライン「センター南」駅 徒歩 約11分/横浜市営地下鉄グリーンライン「都筑ふれあいの丘」駅 徒歩 約7分

Web:http://tablealice.com/index.html

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