「こっち見て信号」に気づいたら、いろいろ「お願い」をしよう!~「エビとカニの水族館」のコンセプトがすてき!~永瀬春美のコラム 第3回

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先日テレビで、和歌山県すさみ市にある「エビとカニの水族館」を紹介する番組を見ました。その名の通り、エビとカニに特化した水族館で、かなり珍しい希少種も展示されているようです。

番組のテーマは「エコな水族館」
ランニングコストを抑える多彩な方策がいっぱいあって、とても興味をひかれました。
中でも卓越しているのが「お客さんをこき使う作戦」
たとえば
・水槽のそばにガラス拭きの道具があって、「曇って見えにくいときはこれで拭いてください」とか
・「脱走したフナムシが床を歩いていたら、つかまえて水槽に戻してください」とか
そんな掲示があるのだそう。

これが案外好評で、子どもたちには「ただ見るだけ」よりずっと楽しいようです。
あえて「参加型のイベント」を企画しなくても、日常的に参加させてしまえば少ない職員でも対応できるので人件費がおさえられて一石二鳥というわけ。
なんでも先回りしてやってくれる「おもてなし」だけがサービスじゃない、ってことですね。

この話を聞いて「私がママたちによくお話する『こっち見て信号』の対応と同じだ!」と思いました。
たとえば下の子が生まれた時、ママが赤ちゃんの世話に追われていると上の子が不安になって、あえて叱られるような行動をとることがあります。
「ちょっと待って」と言っても、その「ちょっと」が不安で不安で待てない子に、ママがいらだって「もォ~ いい加減にして!!」なんて言ってしまと、上の子はますます不安になるので一層エスカレートしてしまったり・・・

下の子が家に来た時の上の子の気持ちは、「夫が知らない女性を連れてきて、『今日から新しい家族だ。仲良くやってくれ』と言われる妻のようなもの」と聞いたことがあります。もしその女性が外国人で、日本の言葉も習慣もわからなくてすごく手がかかる人だったとしたら、その人の世話をやく夫にどんな感情がわくでしょうか?
夫に、どうしてほしいですか?
「わからないんだから、しょうがないじゃない。ちょっと待って」と言われたら、どんな気持ち?

私がおススメするのは、待たせるより参加させる作戦です。
ママと上の子がタグを組んで、手のかかるワカランチンの赤ちゃんを一緒に世話する雰囲気に持っていくと、「ママを取られる感じ」ではなく「ママに頼られる喜び」や「ママの役に立てるうれしさ」「できる自分に出会う心地よさ」など、プラスの感情がわいてきます。

授乳で手が離せないとき「お姉ちゃん、あれ取ってくれる?」とか、おむつ替えの時に「手を握っていてくれると落ち着くから、お願い!」とか、上の子にいろいろ頼んで「ありがとう」をいっぱい言ってあげたら、きっと安心できると思う。

ママが家事や在宅の仕事などで忙しいときも、「こっち見て信号」が出たら、出してくれたことに安堵して(気持ちを表現できる親子の信頼関係ができている証拠ですから)、「一人じゃつまんなくなっちゃった? 今ちょっと手が離せないんだ、悪いね~」と、その気持ちを受け取ったことを表明して、何かをお願いするほうが我慢させるよりずっといいと思います。
「終わったら早く遊べるように、洗濯物を引き出しにしまってくれない?」とか・・・
あくまでも「お願い」ですから、命令形ではなく疑問形で、「するかしないかはあなたの自由」というニュアンスが伝わることが成功の秘訣です。
やってくれたら、無条件で「ありがとう!」
目的は手伝いそのものではなく子どもと心を通わせることですから、作業の質をとやかく言うのはNGです。あとでやり直しの手間がかかったとしても、親子ともイライラしないすむ代償としては安いものです。

もしかんしゃくを起こして(またはおもしろがって)、引き出しの中身をポンポン引っ張り出し、部屋いっぱいに散らかし始めたら・・・
ママが遊んでくれなくても自分で対処するべく、その子なりにがんばってくれているのですから、「おもしろい遊びを見つけたねぇ~!」と笑い飛ばした方がママ自身がラクです。
一緒に思いっきり散らかして「引き出し空っぽ!!」と笑いあってから、「今度はしまうの手伝って~」と言えば、また「ありがとう」を言うチャンスができます。
「余計な家事が増えた」と思うと腹が立ちますが、「結構な時間、飽きずに遊べた」「公園に出かけるよりはラクだったかも」と思えたら、「叱ってばかりいる自分がイヤになる」といったよくあるお悩みが少し解消するかもしれません。

永瀬春美(ながせはるみ)看護師・JACC認定臨床心理カウンセラー

大学教員(家族看護学)、専門学校専任講師(小児保健・育児相談など)、同校スクールカウンセラー、保育園看護師などを経て現在NPO法人 子育てひろば ほわほわ 顧問。同法人が運営する子育てひろば内でご相談を受けるほか、個別の面接相談「子育て相談室いっぽ、いっぽ」を主宰。
保護者向けの各種講座、支援者の研修や養成講習などの講師を務める。

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Web : http://kosodate-soudan.net

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