素直に子どもと向き合えば ―あべのコラム 第2回「心配事」―

2016.9.14

心配事の多いお母さまが増えています。あれが心配、それも心配、このままでは子どもの将来がとっても心配。
そんな心配ばかりしているお母さまの方がボクとしてはよほど心配になります。

心配事の多いお母さまがカウンセリングに来られたとき、ボクはよく質問をします。
「その心配事をほうっておいたら、お子さんはどうなってしまうのですか?」と。
たいていのお母さまは少し考えた後で、
「このままではロクな学校に入れない」「お友達と仲良くできない」「ちゃんとした仕事に就けない」「まともな大人になれない」などと回答を出してくれます。
しかしボクが「本当にそうなりますか?」「そうなることが必要ですか?」「そうなりたいと本人が望んでいるのですか?」などと意地悪に突っ込んでみると、「いや、ちょっと心配しすぎでしたね」などと笑顔がこぼれたりします。

子どもの将来を心配しているようで、実は「周りに取り残されること」や「子育て本に書いてある通りにならないこと」、あるいは「自分の理想とは違っていること」「思ったようにならないこと」など、心配の中身が「子ども」ではなく「自分自身」に置かれていることは多いです。

逆に言えば、余計な事を考えず、素直に素直に、ただただ素直に、子どもと向き合ってみると、そこまで心配ばかりしなくても大丈夫だろうという気持ちになれたりします。「笑顔を見ていたらどうでもよくなった」とか、そのような感覚。

いずれ、本当に心配をして、しっかりと守ってあげたい、味方になってあげたい、そういった場面は必ずやってきます。そのときのために、小さな心配は温存しておいていいかもしれませんね。

コラム執筆者

阿部 伸一(株式会社REO 代表取締役/特定非営利活動法人いばしょづくり 代表理事)

1973年生。神奈川県横浜市在住。心理カウンセラー。
20代後半より、不登校生・保護者へのカウンセリングや学習・進路指導を始める。
『マニュアルは無い』をポリシーとし、特定の手法を用いずに『環境・行 動・資質』それぞれの状況を把握することで、個々に応じた対応や具体的なアドバイスに務めるという独特のスタンス。個別指導塾を運営していることもあり、『不登校からの学校選びと受験対策』『私立一貫校生の不登校対応』は専門分野。
2003年に学習サービス事業の株式会社REOにて「不登校サポートコース」を発足。また、2010年に不登校生、不登校経験者、保護者のサポー トを行う「特定非営利活動法人いばしょづくり」の活動開始。
近著「『不登校』は天才の卵」(宝島社)
web:株式会社REO特定非営利活動法人いばしょづくり
Blog:不登校でもイイじゃん ~あべのブログ~

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