映画~『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』

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ⓒTRIGON PRODUCTION s.r.o. W.I.P.s.r.o. J&T Finance Group,a.s. CZECH TELEVISION SLOVAK TELEVISION 2011

ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち
NICKY’S FAMILY

配給・エデン、ポニーキャニオン 2011年 チェコスロヴァキア 101分
公開・11月26日 EBISU GARDEN CINEMA、近日公開 横浜シネマジャック&ベティ

「キンダー・トランスポート」を実行した英国人、ニコラス・ウィントンの行動とその後をドキュメンタリーと再現ドラマで綴った珠玉の作品。1938年のチェコスロヴァキア。ナチスドイツの迫害からユダヤ人の子どもたちを救った人物としてニコラス・ウィントンが知られるようになったのは1988年以降のことです。

列車をチャーターし、子どもたちを国外に移そうとしますが、受け入れてくれる国は見つかりません。英国だけが条件付で受け入れを了承、その条件とは、子ども1人につき50ポンドの保証金と、子どもたち全員の里親を探すことという厳しいものでした。ニコラスはそれを受け入れ、プラハで子どもの写真入資料を作成、英国を奔走、そして3月14日から8月2日までで669人の子どもを救出します。

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彼が子どもたちを救出したことは妻にさえも話していませんでしたが、88年に妻が屋根裏で1冊のスクラップブックを発見、そこには詳細な救出作戦と子どもたちのリストが記してありました。それをテレビ局BBCが入手、当時の子どもたちを探し出し、ニコラスと再会させます。本作が本当に素晴らしいのはここからです。単なる善行の記録映画ではありませんでした。

成長した子どもたちは、実業家、ジャーナリスト、科学者、教師、エンジニアなど社会を支える要職に就いていました。そしてその子ども、孫など、ニコラス・ファミリーは6000人超に広がり、子ども、孫たちはニコラスの恩に報いるため、慈善事業、奉仕活動を実践しようと申し合わせていました。

ニコラス・ファミリーは英国だけでなく世界に広がり、そしてこれからも世界中に広がっていくことでしょう。

ニコラスは2015年、106歳で天寿を全うしましたが、彼の行動が、このような彼も予期せぬ形で実を結んだことを知ったことは実に喜ばしいと思います。

救われた子どもの一人に、英国の映画監督カレル・ライスがいたことは知られておりません。怒れる若者たちと言われるフリーシネマ運動をトニー・リチャードソンとともに牽引し、「土曜の夜と日曜の朝」「裸足のイサドラ」「フランス軍中尉の女」等の代表作を残した英国映画史に名を残す映画作家です。ニコラスの偉業はあらゆる分野に光を当てているのです。

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本作のナレーションは、救われた子どもの一人であるカナダのジャーナリスト、ジョー・シュレシンジャー。監督・脚本・製作はTVを中心に活躍するドキュメンタリー作家、マティ・ミナーチェ。驚きと感動が詰まった名作の誕生です。

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