『ハートビート』
HIGH STRUNG
公開 : 8月20日より新宿シネマカリテほか公開
配給 : 武蔵野エンタテインメント
アメリカ=ルーマニア 2015年作品
これは思わぬ拾い物、予想外の面白さです。音楽映画といってもジャンルは様々。ミュージカルからバレエ、ダンス、楽器と幅広いですが、本作はそれらすべての要素を盛り込み、しかもクライマックスでひとつに融合するのです。
ニューヨーク、バレエ学校の奨学生、ルビー(キーナン・カンパ)と同室のジャジー(ソニヤ・ミズノ)との友情、イギリス人バイオリニスト、ジョニー(ニコラス・ガリツィン)とルビーの出会い。
ジョニーの仲間であるヒップホップダンサーたち。バイオリン・バトル、弦楽器とダンスのコンクールといった見せ場の連続で、目が離せません。
ジョニーとルビーは恋愛関係に発展しそうですが、寸止めにして話を脱線させることなく、直線的に進めて行きます。コンクール出場の対抗チームはツワモノ揃いで、役割的には悪役ですが、妨害や不正は行いません。適法で不適切行為もないので気分よく観られます。対抗チームの高度な技術を見せた後で、ルビーチームのパフォーマンスを省略なしできっちり見せるところは、作り手の自信がうかがえます。
本作の成功の要因は、第一級のバレリーナ、ミュージシャンをキャスティングできたことにあります。ルビー役のキーナン・カンパはアメリカ人初のマリインスキー・バレエ団に所属、ジャジー役のソノヤ・ミズノは東京都出身、英国ロイヤルバレエ学校に学び、ドレスデン国立歌劇場バレエ団とスコティッシュバレエ団に在籍、雑誌モデルや映画女優としても知られています。
ニコラス・ガリツィンも俳優、ミュージシャンとして活躍。監督・脚本のマイケル・ダミアンも俳優、ミュージシャンだけに、冒頭から音を効果的に使うセンスに納得できます。