映画『ボブという名の猫』。猫を助けたつもりが、猫に助けられていた!

© 2016 STREET CAT FILM DISTRIBUTION LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』

8月26日(土)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
監督:ロジャー・スポティスウッド 製作総指揮:ポール・ブレット、ティム・スミス、ダミアン・ジョーンズ、ローラ・デイヴィソン
出演:ルーク・トレッダウェイ
2016年/イギリス/英語/103分 原題:A STREET CAT NAMED BOB
配給:コムストック・グループ 提供:テレビ東京、テレビ大阪、コムストック・グループ

日本は空前の猫ブーム。巷は猫に癒しを求める人が溢れています。数多くの猫映画が公開されていますが、本作はその決定打ともいうべき文句なしの傑作です。
本作は実話の映画化であり、原作は2012年に出版された「ボブという名のストリート・キャット」(辰巳出版)。テレビでも「奇跡の猫ボブ/人生ドン底男ジェームズとのキズナ」として紹介されたのでご存知の方もおられるでしょう。
映画に登場するボブはボブ本人(本猫?)という、オドロキと感動と幸せの珠玉作です。

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ストリート・ミュージシャンのジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)は薬物依存の更生プログラム中の青年。更生担当のヴァル(ジョアンヌ・フロガット)は、ジェームズに住まいを提供することで支えになるのではないかと考え、住居を用意します。引越した夜、茶トラの野良猫が窓からご訪問。コーンフレークを召しあがるとお帰りに。翌日、ジェームズは街で父親(アンソニー・ヘッド)と偶然に出会います。クリスマスに家に帰ってもいいかと聞くと、横から義母が薬物依存症だから子どもに近づかないで、と口を出してきます。父はジェームズに、そっとお金を握らせるのでした。

家に帰ると、ケガをしている茶トラと再会。隣家のベティ(ルタ・ゲドミンダス)はボブ(ご近所ではボブと呼ばれているようです)を動物病院に連れていくようにすすめます。動物病院は、診療は無料ですが薬代は有料。ジェームズは父親からもらったお金で支払いを済ませます。これで明日の食事代が消えてしまいました。エリザベスハットを装着されたボブ。壁の穴からネズミが現われても、動きがとれないボブです。薬を巧く与えられないジェームズに代わってベティがボブの口に薬を投入。ボブのお陰でベティとお近づきになれたジェームズですが、薬物依存の人には近づきたくないというベティに、実は更生中とは言い出せないジェームズでした。そんな二人を観察しているボブ。

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ボブはジェームズの肩に乗って外出、バスに乗って路上演奏に。ボブが寄り添っているだけで、いつもよりチップが多く集まります。イギリスは猫派しかいないのでしょうか。犬派、いました。犬を連れたおばちゃんとトラブルになり、ジェームズは路上演奏禁止処分に。そこで雑誌路上販売を始めますが、販売エリアの厳守ルール違反から、この仕事も失います。こっそり路上演奏を再開するジェームズ。ある家族連れが、ボブを売ってくれと言いだし、押し問答に。ボブは姿を消してしまいます。
一方、ジェームズとボブの姿が新聞で取り上げられ、ユーチューブでも100万回以上の再生で大きな話題になっていました。ジェームズは断薬を決意、打ち明けられたベティも協力します。立ち直ったジェームズのもとにボブも帰ってきました。出版社に勧められてボブのことを書くジェームズ。本はベストセラーに。サイン会に父と義母、子どもの姿も。家族再構築、ベティの愛、それはボブが助けてくれたから。

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なお、自宅を手に入れたジェームズ。印税のほとんどは寄附したそうです。
ストーリーをざっと紹介しましたが、既に知られている物語なので、今更ネタバレにはならないと思い、書いてしまいました。感動的な物語ですが、猫派のお客様はむしろ、ジェームズを陰ながら支えるボブの姿、その一挙手一投足に癒されるのではないでしょうか。
バスに乗るボブ、ネズミとの遭遇、去勢されるボブなど、ボブの可愛い行動と表情は物語の説明に堕しておらず、演技ではない自然な行動を捉えているので、猫好きはキュンキュン必至、繰り返し観たくなる作品です。

監督は『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』などアクション映画で知られるロジャー・スポティスウッド。『ターナー&フーチ すてきな相棒』という犬映画も撮っているので、猫好きというより動物好きの監督のようです。

オフィシャル・サイト http://bobthecat.jp/

取材・文:伊藤 孝

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