映画『ベイビー・ドライバー』は、音楽、恋愛、アクションが一体化した傑作!

©2017 TriStar Pictures, Inc. and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

『ベイビー・ドライバー』

8月19日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
原題:Baby Driver 2017年 アメリカ映画 113分
監督・脚本:エドガー・ライト
出演:アンセル・エルゴート ケヴィン・スペイシー リリー・ジェームス ジェイミー・フォックス ジョン・ハム エイザ・ゴンザレス

イギリス映画の俊英、エドガー・ライトのハリウッド進出第1作目にして最高傑作。
ずば抜けたドライブテクニックの青年マイルズ(みんなはベイビーと呼ぶ)は、ギャングの逃がし屋を仕事にしている。ギャングのボス、ドク(ケヴィン・スペイシー)に借りがあるため、しかたなく従っているのだ。ベイビーの凄いドライブテクニックは、ファーストシーンの、銀行ギャング一味を乗せてパトカーを振り切るカーチェイスで堪能できる。素晴らしい運転、ベイビーのヘッドフォンから流れるロック。イカす音楽がないとドライブテクニックの冴えが落ちるのだ。ベイビーは、幼少時の交通事故の後遺症による耳鳴りに苦しめられていた。音楽を聴くことで集中力と反射神経は極限まで研ぎ澄まされる。
ベイビーのドクへの借りは次の仕事でチャラになる。ようやく犯罪の加担から足を洗えるのだ。

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最後の仕事も、いつものようにドクが綿密な計画を立て、彼が集めた凄腕のメンバーが銀行を襲撃する。ベイビーは銀行の前で待機、メンバーを乗せて逃走する。それがいつもの段取りだが、今回のメンバーは凶暴なバッツ(ジェイミー・フォックス)が加わっていた。何しろすぐに拳銃をぶっ放すから危ないことこの上ない。コンビニから菓子を買うのに、レジでカネを払うのが面倒だから店員を撃ち殺しちゃう奴。だからいつものように無血強盗とはいかない。それでもなんとかドクのアジトにたどり着き、お役御免となる。

堅気になったベイビーはピザ配達の仕事に就く。そんなベイビーが、ダイナーのウェイトレス、デボラに一目惚れ。内気なベイビーだが、デボラとはなぜか会話が弾む。そんなベイビーにドクが新たな仕事を持ち掛ける。「ベイビーがいると仕事は必ず成功するんだ」と、デボラを盾にとって仕事の引き入れるのだった。今度は郵便局強盗。しかもまたバッツがメンバーだ。もう一人のメンバー、バディ(ジョン・ハム)は温厚そうだが、実はバッツよりも怖い奴。町を出たがっていたデボラに、「仕事が終わったら一緒に町を出よう」と約束するベイビー。しかし仕事に必要な武器を売人から受け取る時に、バッツは売人を警官と見抜き射殺。だが、警官はドクが買収していた売人だった。こうしてドクの計画は破綻してゆく。郵便局強盗の後の仲間割れに巻き込まれるベイビーとデボラ。絶体絶命の2人はいかにして危機を逃れるのか。

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大勢の人が死ぬのに、なぜかハッピーエンド。爽やかな後味の犯罪映画であり、音楽映画であり、青春映画。音楽センスはリチャード・リンクレイターを思わせる。犯罪シーンはマイケル・マンのような冴え。ドライビング・テクニックはウォルター・ヒルの『ザ・ドライバー』(78)を思わせる。しかも、ウォルター・ヒルが終盤のあるシーンに出演していることでも、ライトのヒルへのオマージュが感じられる。そしてラストは『ゲッタウェイ』(72)
のノリでサム・ペキンパー(脚本はウォルター・ヒルだった)へのリスペクト。

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楽曲はライトが選び抜いた30曲以上が使われている。ロック、ソウル、ダンスミュージックがアクションと一体になる心地よさ。冒頭のカーチェイスはジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの「ベルボトム」。その他、クィーン、バリー・ホワイト、ビーチボーイズなど。
しかも新録曲を提供したスカイ・フェレイラがベイビーの母親役で出演、ジョン・スペンサー、フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)も出演しているのでお見逃しなきように。
エドガー・ライトはハリウッド・メジャーに進出しても、作家性を失っていないのは嬉しい限り。繰り返し観たくなる、魅力に満ちた傑作である。

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